ふたつの源流、
ひとつのナガシマ
ナガシマグループは現在、長島梱包・ナガシマ物流サービス・甲信梱包・丸林商工の4社で構成されています。このうち甲信梱包と丸林商工は、もともと別の土地で、別の時代に、別の人たちが始めた会社です。
扱う素材も、お客様の層も違う2社が、どのような歩みを経てナガシマグループの一員となったのか。100周年を機に、それぞれの物語を少しだけ紹介させてください。
木
1944年 ・ 長野県 奈良井
丸林商工株式会社
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推奨:奈良井宿の街並み/木曽檜の森/木製パレット製造現場
木曽谷、奈良井で生まれた会社
丸林商工の本社がある長野県塩尻市・奈良井は、中山道34番目の宿場町として栄えた「奈良井千軒」の地。周囲には、江戸時代から幕府の保護林として管理されてきた木曽檜の森が広がっています。400年以上、木と生きてきた土地です。
1944年(昭和19年)2月、戦争の終わりがまだ見えなかった頃、この奈良井で、製材木材の販売を目的に丸林商工は創業しました。ちょうど同じ頃、東京の戸塚工場では國治が軍需梱包に追われる日々を送っていました。東京と木曽、まったく別々の場所で、それぞれの「木を扱う仕事」が静かに続いていた——100年後から振り返ると、そんな時代背景が見えてきます。
認定の積み重ね、そして国際基準への対応
戦後、丸林商工は木製パレットや木箱、合板箱といった梱包用木製品の製造へと事業を広げていきます。1973年にJAS製材認定工場の指定を取得し、品質管理の基礎を固めました。そして2001年、輸出梱包材処理工場の認定を取得。これは、単なる製材業から、日本の輸出産業を支える一端を担う企業への大きな一歩でした。
輸出用の木製梱包材には、国際基準ISPM15への対応が義務づけられています。木材に潜む病害虫の国境越え伝播を防ぐため、規定された温度と時間で熱処理を施し、所定のマークを焼印する必要があるのです。丸林商工は、この熱処理設備を自社敷地内に備え、消毒処理の実施から証明書発行までを自社で完結できる体制をとっています。
紙
1974年 ・ 山梨県 甲府
甲信梱包株式会社
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推奨:強化段ボールで梱包された精密機器/加工設備の現場/甲府・奥州営業所の外観
甲府盆地で、段ボール梱包とともに
山梨県甲府市は、古くから水晶研磨の伝統を持ち、その精密加工の技術が受け継がれて、精密機械や電子部品、医療機器のメーカーが集まってきた土地です。微細な振動も許されない製品群が、この盆地から世界へ送り出されていきます。
1974年(昭和49年)4月、オイルショックの余波で日本経済が大きく揺れていた時期、甲信梱包は梱包資材の販売を目的に創業しました。社名の「甲信」は、甲斐と信濃、つまり山梨と長野を結ぶ営業エリアを表しています。1983年に本社を甲府に据えてからは、地元の精密機器メーカーの要求水準と向き合いながら、包装設計のノウハウを積み重ねてきました。
強化段ボールという選択肢を、さらに広げる
甲信梱包が得意とするのは、三層強化段ボールを使った梱包ソリューションです。強靭な原紙を多重構造に貼り合わせたこの素材は、数百kgから数tの重量物にも耐える圧縮強度を持ちながら、木箱に比べて大幅に軽く、釘打ちも不要、海外での廃棄やリサイクルも容易という特性があります。長島梱包の湘南事業所でも長年取り組んできた領域ですが、甲信梱包がグループに加わったことで、提供エリアと加工設備の厚みをさらに広げてきました。
2011年、東日本大震災の年には宮城県に仙台営業所を開設。震災復興の需要に応える形で、東北での地盤づくりが始まりました。さらに2024年6月には岩手県奥州市に奥州営業所を開設し、7月から操業をスタート。近年、東北は世界的に注目される半導体関連産業の集積地となっており、大手半導体製造装置メーカーの現場に密着した拠点として、役割を広げています。
甲信梱包がナガシマグループの一員となったのは2016年6月。その4年後、2020年9月30日に丸林商工もグループに加わりました。もともと湘南事業所で取り組んできた強化段ボール梱包の体制を、甲信梱包との合流でさらに強化する——という流れが、まず一つ。そしてそこに、木製梱包の専門会社である丸林商工が続きました。
とくに2020年前後は、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱に続いて、ウッドショックと呼ばれる世界的な木材の供給不足と価格高騰が起きた時期でもあります。横浜港と東京港に事業所を構え、重量物の輸出梱包を主力としてきた長島梱包にとって、木製梱包材は代替のきかない資材です。木材の調達から加工、輸出向けの熱処理、証明書発行までを一貫して担える丸林商工がグループ内にあることは、事業の安定性を大きく支えてくれる存在となっています。
紙(強化段ボール)と木——素材の違う2社がグループ内に揃ったことで、用途や輸送条件に応じて、最適な素材を組み合わせて提案することも可能になりました。底部やフレームには丸林商工の木材、外カバーには甲信梱包の強化段ボール。そんなハイブリッドな梱包仕様も、グループ内の連携のなかで生まれています。